THE CHELSEA HOTEL PROJECT 始動

2000年、存続さえ危ぶまれた「マツノイパレス」が、起死回生を掛けて打ち立てた再生計画が「ザ・チェルシープロジェクト」だった。それは、パーティー文化を牽引するアートの街「ニューヨーク」をインスパイアしながら、空間のデザイン設計はもちろん、ライティング、サービス、フラワーアレンジメント、ドリンク&フードなどその全ては従来のスタイルから大きく変貌を遂げた。結果、ウエディングビジネスは急速に回復を見せ始め、ついには中四国でもトップクラスのウエディングプロデュース実績を叩き出した。現在では、利用者の口コミランキングでもトップクラスの評価を得る業界のトップランナーへと躍進し、ウエディングのプロフェッショナルたちも視察&ヒアリングに訪れる、全国から注目されるウエディング&パーティーブランドとなっている。
この一連の再生計画の旗を振り続けているのが、5代目社長・住田浩氏である。住田社長は2000年、全くの異業種から転向し、「自由で楽しいウエディング」を実現させるために「ニューヨークスタイル」をベンチマークとして、ダイレクトに「空気」を採り入れた。今回は、その住田社長に、2019年夏、リブランドに併せて開業を目指している、新たなる「ホテルプロジェクト」について話を伺った。

──このホテル計画は、いつ頃から考えていましたか?
住田●2006年頃からずっと温め続けていました。今日までの12年間でプランは二転三転してきましたが、さまざまな条件が整い、満を持して計画を実行に移し始めたというところです。
──続いて、ホテル事業への進出の理由をお聞かせください。
住田●ホテルビジネス単独としての自立もさることながら、やはり私共は「未来永劫に在り続ける結婚式場としての進化」が使命ですので、その一環としてホテル(宿泊)は重視しています。一般のパーティーもそうですが、特にご結婚式では遠方のゲストの皆様がお越しになられます。二次会機能に加え、宿泊施設の整備は「ワンストップ・ウェディング」を成立させる上で、なくてはならない要素です。これはゲストの皆様の移動に於ける時間や手間、コストの圧縮という利便性の向上はもちろん、ご結婚されるお二人様からゲストの皆様に向けての“おもてなし”の一つとしてお役立ていただければと思っています。
──これまでもザ・チェルシーは、レストランや雑貨ショップ、
スイーツショップをオープンさせ、とても好評ですね。
住田●ありがとうございます。それらをオープンさせていただきましたのは、私共でご結婚式を挙げられたお二人様からの「またザ・チェルシーに遊びに行きたい!コーディネーターの○○さんに逢いたい!」という、まさしく卒業された学校の校舎や先生を想われるような有難いお声を頂戴しているからです。ここにホテル(宿泊)という新しい扉が開かれれば、“いつでも、いつまでも”帰って来ていただける機会をまた一つご用意できます。
──ザ・チェルシーは、頻繁にさまざまなイベントを開催していますが、
そこでもホテルができると役立ちますね?
住田●はい、おっしゃられる通りです。私共がイベントを精力的に開催させていただいておりますのは、先に申し上げましたお二人様からのお声をカタチにして差し上げたいという想いが元になっています。私共は結婚式場として50年もの間、地元の方々を中心にご愛顧いただいていますので、エンターテイメント(おもてなし)のエキスパートとして、地元の方々にワクワクとドキドキを提供させていただきたい……そんな想いからです。他にも、地元企業様のイベント開催のプラットフォームとして、あるいは私共とのコラボイベントにも化学反応を起こすことができます。そこにホテルという機能が加われば、ご遠方の方々へのお声掛けもし易くなり、その領域は更に拡張し、従来にも増してお役に立てます。
──ザ・チェルシーのスタッフも、お客様に新しい“過ごし方”の提案が
できるようになるという意味で、このホテル開業は待ち遠しいのでは?
住田●私共のスタッフは部署を問わず皆、“褒められタイ、お役に立ちタイ、認められタイ”という「三匹のタイ」を胸に、それらが叶うことを何よりの喜びとしています。社長の私自身、頭の下がるくらい素晴らしく、誇らしいスタッフです。そんなスタッフのステージが拡がるという意味もございますし、スタッフ自身も楽しみながら、このホテルを有意義にフル活用してくれるものと信じています。また、ホテル事業はご結婚式をはじめとした「パーティービジネス」とは異なった職種ですので、当然ながら“働き方”も異なります。既存スタッフのジョブローテーションのステージになり得るとともに、勤務体制の都合で私共を退職なさったOB・OGメンバーの皆さんの再雇用の入口として機能するなど、社内のポテンシャル(可能性)にも大いに期待しております。
──最後に、どのようなホテルをイメージしていますか?
住田●香川県在住の方が、遠方の大切なゲストをお呼びする時に「あのホテルなら失礼が無い」ではなく、「あのホテルなら楽しんでもらえる! ゲストを大切にしてくれる!」と思っていただけるホテルにしたいですね。そのためにも、自分自身が大切な人に胸を張ってご案内できるホテルを創造し、そして育てていかねばと考えています。
──ありがとうございます。次回はこうした背景を踏まえてのコンセプトや
具体的な施設創りについてお話を伺わせていただければと思います。